投稿者: issy
【プレスリリース】G-Bioイニシアティブ社の石巻須江バイオマス発電事業(パーム油、ポンガミア油)住民説明会で、昨年に引き続き署名を社長に手渡しました
2023年9月10日、石巻市で開催された株式会社G-Bioイニシアティブのバイオマス発電事業須江地区住民説明会に、昨年に引き続きウータン・森と生活を考える会事務局長の石崎が参加し、みなさまからいただいたオンライン署名「海外の環境破壊と国内外での人権侵害を引き起こす石巻市須江地区でのバイオマス発電をやめてください!」9280筆の署名(昨年からさらに増えました)を柳沼紀之代表取締役社長に手渡しました。提出の際には、#パーム油発電 からの悪臭・騒音被害に苦しんでいた京都府福知山市土師新町の住民を代表されていた三谷さんのコメントと共に、「問題が起こってからでは遅いこと」、「石巻のみなさんに全国から応援の声が届いていること」を紹介しました。石巻の住民の方々からは暖かい拍手をいただきました。
住民説明会は昨年同様に、この問題を憂慮するたくさんの住民の方が集まりました。発電時の悪臭・騒音などの公害被害、大型トラックがたくさん通る交通の心配などは、説明によって一切払拭されず、たくさんの質問と心配の声が寄せられました。「なぜ終の住処と決めたこの場所で、ずっと心配し続けなくてはならないのか」「会社の存続というが、私たちはずっとここに暮らしている。住民が反対しているのになぜ会社の利益が優先されなければならないのか」「私たちが求めるのはこの事業が無くなることだけだ」といった悲痛な訴えも聞かれました。
G-bio社は、昨年の住民説明会で「絶対にパーム油は使わない」と明言したにも関わらず、今年6月に経済産業省の業務改善命令を受け、「本当はポンガミア油を使いたいが、経済産業省から言われたのでしかたなくパーム油を使うと言わなければならなくなった」と、使用する燃料を明言できずに説明が二転三転し、およそ説明会の体をなしていない状況でした。
これまでの経済産業省の議論を見る限り、副産物とは言えないポンガミア油がFIT制度で認定される可能性はほぼありません。また、パーム油は採算ラインを超えて価格が高止まりして、日本では一件も稼働していない状況が続いています。よって、バイオマス液体燃料発電事業は、現実的に成り立たない状況なのです(朝日新聞「パーム油発電、全国で停止中 「話にならない」と各社が嘆く理由」)。
G-bio社は、いたずらに住民の不安を招くばかりの状況を続けるのではなく、事業を白紙撤回すべきです。また、このような態度を表明し続ける事業者に、私たちがし払う電気料金によって運用されるFIT制度による売電を認めていいのでしょうか?FIT制度を運用する経済産業省は、本件のFIT認定を即刻取り消すべきでしょう。
私たちは引き続き、G-Bio社に対してバイオマス発電事業をやめるように求めていきます。また、海外の森林を破壊し、莫大な温室効果ガスを排出するパーム油発電や木質バイオマス発電などが無くなるように活動を続けていきます。当会が協力するセミナーなどでも輸入バイオマス発電反対に関する発信を続けて参りますので、引き続き、ご注目と応援のほどよろしくお願いいたします!
Earth Day みんなつながってる環境イベント大阪2023 〜パーム油・熱帯林と私たちが食べている物の密接な関係〜アースデイの日にみんなで一緒に考えませんか?
世界有数の生物多様性の宝庫である熱帯林。
私たちの身近な消費生活が豊かな森を破壊することにつながっているかもしれません…
環境問題に関心がある、自分ができることを考えたい、仲間を集めてこんなことをやってみたい、パーム油・カップヌードルの現状をどうにかしたい…
ドキュメンタリー映画やワークショップを通して、身近な食べ物から、海外の環境問題について私たちにできることを一緒に考えましょう!
【日時】
2023年4月22日(土)9:00〜21:00
(オープンイベントです。映画の時間を除いて、ワークショップなども計画していますが、基本的にはインフォーマルな学びの空間、質問や意見などの交換の場所を提供します。):
映画上映①10:00〜 ②14:00〜 ③18:00〜
*映画の時間の合間にワークショップなどインフォーマルな学びの空間、質問や意見などの交換の場所を提供します。
*ヴィーガンのお菓子などエシカルな商品もご用意する予定です。
【上映作品】
「グリーン・ライ〜エコの嘘〜」(97分、2018年、ヴェルナー・ブーテ監督)https://www.cinemo.info/82m
スーパーで見かける「環境に優しい」商品。商品を買うと世界を救えるは本当?確かめるため監督自身が世界一周調査の旅へ出る。「環境に優しい」「サステナブル」耳触りの良い言葉の裏側に隠された残酷な真実に迫るドキュメンタリー。
解説:https://unitedpeople.jp/greenlie/exp
【場所】
ルマ・ボルネオ(https://nobuo5002.wixsite.com/ruma2)
大阪府都島区都島本通3-8-10 2F
アクセス:大阪メトロ谷町線の都島駅から徒歩3分、またはJR桜宮駅から徒歩9分
*道案内:谷町線 都島駅 ①番出口をでます。オコメノカミサマというラーメン屋さんの方へ出てまっすぐ進み、炉ばた焼き屋さんの角を左折。
【対象】
環境に関心のある全ての人々。
「行動したいけどまだよくわからない」「環境問題に取り組む仲間が欲しい」というユースの方も大歓迎です!
【参加費】
基本的にありませんが、可能でしたら、500円のドネーション・カンパをいただけるとありがたいです。余裕のある方はそれ以上、余裕のない方はできる時で結構です。
また、カンパの代わりとして以下の行動も歓迎です!
・今日見たこと、経験したこと、聞いたことを友達、家族、知り合いなどに話す
・今日の感想をソーシャルメディアでシェアする
・RANの署名にサインをする
・署名したことを友達などに話す
・RANのサイト、YouTubeをみて勉強する
・RANのTwitterをフォローする
・RANやウータンのイベントに参加する
・ウータンのTwitterをフォローする
・ハッシュタグをつけてSNS投稿する #日清食品 #パームオイル #カップヌードル #森林破壊 #インドネシアの自然 #人権侵害 #野生動物 #安藤さん #doitnow #cupnoodles #nissin
・ウータンのサイト、YouTubeをみて勉強する
・ウータンの会員になる
・ウータンに寄付する
・RANやウータンの活動に参加する
・アメリカのRANのサイトで英語やインドネシア語を勉強する(日本語と英語、インドネシア語のレポートもたくさんあります)
・自分が学んだこと、気づきをみんなに言う、ソーシャルメディアでシェアする
・何かを買う時、それに何が入っているかチェックする。パーム油・植物油の入ったものならば、インドネシアなどの熱帯雨林、地元民、動物たちの犠牲によって成り立っている可能性があると理解する。
【主催】
Rainforest Action Network
https://japan.ran.org/
レインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)は、米国のサンフランシスコに本部を持つ環境NGOです。1985年の設立以来、環境に配慮した消費行動を通じて、森林保護、先住民族や地域住民の権利擁護、環境保護活動をさまざまな角度から行っています。日本支部では2005年より活動を行っています。
ウータン・森と生活を考える会
https://hutangroup.org/
ウータン・森と生活を考える会は、「森を守りたい」と願う熱い心を持った人々が集まった市民団体です。オランウータン、テングザル、サイチョウ、昆虫、植物、菌類、微生物…多くの命がつながりあって、何万年もの時をかけて作られた生物多様性の宝庫であり、先住民にとっても、私たちにとっても、生きる糧を与えてくれるボルネオ島の自然豊かな熱帯林。一度絶滅すると二度と戻ることのない種が多くいる生態系の減少を食い止める活動、国内外のNGOや現地の村人とともに保全・再生する活動、原因となるパーム油などの大規模開発による熱帯林破壊を日本の消費者に伝える活動を、30年以上、市民の力で進めてきました。
【プレスリリース】「バイオマス発電はカーボンニュートラルではなく、燃焼時にCO₂が排出される」ことを、資源エネルギー庁「FIT/FIP制度におけるバイオマス燃料のライフサイクルGHG排出量の規定値」に明記すべき
ウータン・森と生活を考える会は、2023年1月23日に、経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー課のパブリック・コメント「FIT/FIP制度におけるバイオマス燃料のライフサイクルGHG排出量の既定値について(案)に関する意見募集について」 (1/23 23:59 締め切り)に対し、意見提出を行いました。(注:GHGは、Greenhouse Gas=温室効果ガスの略)
パブリックコメント意見募集案の3ページ ⅴ)発電の①によれば、「バイオマス燃料の使用からの CO₂排出については 0 とみなす」とありますが、これは完全な誤りです。新エネルギー課に問い合わせたところ、「農林水産省バイオマス活用基本計画」の4ページに記載の「バイオマス燃焼は生物の成長過程で大気中のCO₂を吸収するのでカーボンニュートラル」を引用して、「バイオマス燃料はこれまでにCO₂を吸っているのでカーボンニュートラルとみなしている」と説明されました。
しかし、「今後これ以上のCO₂を出さない」というのが再生可能エネルギー促進の目的です。気候変動に関する国際的な合意であるパリ協定の目標として、気温上昇を1.5℃に留めるためには、残りのCO₂排出量を世界全体で4000億トンに抑えなければなりません(カーボン・バジェット)。そのために2030年までに排出量半減、2050年までにゼロにしなくてはならないのです。バイオマス燃料が燃える際にはCO₂が即時に排出され、その燃焼時の排出係数は、石炭火力発電の排出係数を上回ります( 国立研究開発法人国立環境研究所, “日本国温室効果ガスインベントリ報告書“(2021.4),p.82 )。また、吸収には相当な年月がかかります。バイオマスのGHG排出研究の第一人者であるプリンストン大学のティモシー・サーチンジャー博士など多くの研究者が、「樹木を伐採し燃やすことで数十年~数世紀にわたり温暖化を悪化させる」と報告しています( 参考:GEF 地球人間環境フォーラム「 気候危機を悪化させるバイオマス発電~1.5℃目標との整合性を問う~石炭より悪い輸入木質バイオマス~森林保全による炭素固定の重要性 」)。伐採後に適切な再植林が行われない場合、自然が回復せずにそもそも吸収しないという意見もあります( 参考:FoE Japan「【見解】バイオマス発電は「カーボン・ニュートラル(炭素中立)ではない」)
よって、バイオマス発電はパリ協定を達成するための手段ではなく、かえって気候変動を悪化させる「グリーン・ウォッシュ」なのです。今後、国際的に認められた GHG 排出量の算定と報告の基準である「GHGプロトコル」や企業が1.5度目標を達成するためのWWF、CDP、WRI、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアティブ「SBTi」は基準を厳しく改定し、バイオマス燃焼によるCO2排出量を一様にカウント・公表しなくてはならなくなる見込みです。この基準に沿って、バイオマス発電の電気を利用している際に、「使用するバイオマス発電の電気が燃焼時にCO₂が排出されること」を海外展開する日本企業も明記しなくてはならないことになります。FIT制度では、事業者が売電して得られる費用には、再エネ賦課金として私たちが支払っている電気代が使われています。
ウータン・森と生活を考える会は、経済産業省資源エネルギー庁に対して、私たちの電気代を利用して、気候変動を悪化させるバイオマス発電のFIT制度による運用を即時に見直すことを要請します。
以下、当会の提出した意見です。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000245718
(2ページ)
Ⅰ.はじめに
各バイオマス燃料のライフサイクル GHG の既定値を算出するに当たっては、以下に示 す FIT/FIP 制度におけるライフサイクル GHG 計算方法に従いつつ、EU RED2 において 活用されている既定値や、過去の WG において業界団体から示された情報等を参考とした。
→業界団体からのみ意見を聞くのは公平性に反するので、今後は積極的に呼んでNGOや学者の言うことを聞くべき。
② 発電所やバイオマス燃料の製造工場などの設備建設による排出は考慮しない。
→発電所やバイオマス燃料の製造工場などの設備建設を含むすべての排出を考慮すべき。
③ CO₂回収・隔離、 CO₂回収・代替利用(バイオマス起源の CO₂に限る)による GHG 排出が回避できる場合、排出削減として考慮することができる。
→そもそもCCSはリスクが高い。リスクの検討が済むまでは③は記載すべきではない。
(3ページ)
ⅴ)発電 ①バイオマス燃料の使用からの CO₂排出については 0 とみなす。
→発電時のGHG排出が計算されていない。ものを燃やしたらCO2が排出されるので、それを計上すべき。今後、吸収すると主張したいなら、何年間で何kg吸収するか細かい計算式をもとに提出すべき。吸収するのが2050年以降であれば、カーボンニュートラルに反するので、一切認めるべきではない。
計算は、こちらが参考にできる。
https://www.gef.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/bbd4731754105f73e348ee35cca7119c.pdf
→「これまでにCO2を吸収してきた」と言うのは理由にならない。なぜなら、森林に蓄えておけばずっとCO2が閉じ込められるからである。地球温暖化による気温上昇をある一定の数値に抑えようとした場合、その数値に達するまでにあとどのくらい二酸化炭素を排出しても良いか、という「上限」を表すカーボンバジェットの考え方を取り入れるべき。パリ協定の1.5℃目標を達成するためのカーボンバジェットは残り4000億トンである。2050年までに”排出自体をゼロにする必要がある”、“2030年までに半減”することを認識すべき。FIT制度が終了する2040年代にバイオマス発電で莫大なCO₂を排出していれば国際的な非難を受けることは必至である。
→国際基準のGHGプロトコルやSBTiでは燃焼をカウントしている。これらの国際的な基準に合わせるべき。
GHGプロトコル、SBTiにおけるバイオマス燃焼の排出カウントについては、こちらが参考にできる。
https://www.gef.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/203aa11cde68de898258c608f163f6fc.pdf
(7ページ)
Ⅱ.農産物の収穫に伴って生じるバイオマスのライフサイクルGHG既定値
1.既定値の算定結果
現状、FIT/FIP 制度において認められている農産物の収穫に伴って生じるバイオマスは、以下の3種類が挙げられる。
・パーム油 ・PKS ・パームトランク
→上記を栽培する際の泥炭地の土地転換について、莫大なGHG排出があることが記載されていない。記載すべき。
こちらを参考にできる:
https://www.gef.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/bbd4731754105f73e348ee35cca7119c.pdf
(34ページ)
輸入木質バイオマスについては、木質チップ、木質ペレット各々の燃料について、以下 の3種類の原料種に応じて設定した。
・林地残材等
・その他の伐採木(※肥料投入の無いものに限る)
・製材残渣
→「林地残材等」については、カナダやアメリカで、原木が切り倒され環境破壊が報告されている。ちなみに地域住民が公害による被害を訴えており、人権問題にもつながっている。よって、「林地残材等」は省くべき。
こちらを参考にできる:https://www.gef.or.jp/news/event/221220_seminar_bcforestbiomass/ (カナダ)
https://www.gef.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/Ecosustainabiogreen_Wood_Pellets_Jp.pdf (アメリカ)