田川市の住民が反対する南国殖産株式会社の木質バイオマス発電事業から「投資撤退」を求める要請書を、金融機関と株主に送付しました!

「南国殖産株式会社」グループの「田川バイオマスエネルギー株式会社」は、福岡県田川市糒(ほしい)地区において、固定価格買取制度(FIT)の売電による木質バイオマス発電事業を展開しています。当会は、各種公開資料等から南国殖産株式会社グループの融資銀行と想定できる金融機関に対して、下記理由により田川バイオマスエネルギー及び南国殖産に対するESGエンゲージメント(環境・社会・企業統治に配慮するよう対話と働きかけを行うこと)の強化を要請し、改善が見られない場合は投融資の見直し(ダイベストメント)を行うことを2023年8月4日付けで要請し、8月25日までに返答を求めました。

理由1:バイオマス発電所からの悪臭と騒音の被害、景観の破壊が懸念される

近年、木質バイオマス発電所での事故が頻発しており、千葉県袖ヶ浦市の「袖ケ浦バイオマス発電所」は、2023年1月から4ヶ月にわたり火災が発生、鳥取県米子市の「米子バイオマス発電所」では、住民から夜間の騒音への苦情が寄せられ、発電所を運営する会社が実施する周辺の住宅の防音対策について、立地を仲介した米子市も必要な費用の半額を負担することになりました。

田川バイオマスエネルギーの発電所は、のどかな美しい田園風景の真ん中に位置し、周りには住宅や病院、福祉施設、学校や駅、交通量も多いため、景観の破壊と、重大な公害被害が懸念されます。田川市は林業のない地域であり、燃料の木質チップを遠方から毎日運送する1日10台以上もの大型トラックが排出するNOx、SO2、ばいじん等排気ガスからの被害やCO2等の温室効果ガス排出が懸念されます。発電所は、河川そばの低い位置に建設されており、ハザードマップでは洪水時浸水箇所に指定されており、 燃料保管庫の浸水による自然発火や、オイル流出など豪雨災害の二次災害に発展する恐れが否めません。

京都府福知山市では、2017年に稼働したパーム油を利用したバイオマス発電所からの悪臭と騒音による被害を訴える住民が続出し、2020年7月には住民から公害調停が申し立てられ、12月に発電所は廃止されました。

理由2:適切な行政手続きがなされずに、反対の声をあげている住民を無視して工事が進められている

南国殖産株式会社が2020年3月に九州経済産業局に提出した発電所の申請書では、令和元年11月に近隣住民説明会を開き、地域住民に丁寧に説明し理解を得られたと記されていたが、実際には田川市内の日本料理店に関係する3人の区長らを招いた宴会であったことがニュースサイトで報じられました。

発電所に近い星美台地区では、全245世帯のうち203世帯635人が建設反対に署名、糒地区の住民有志も約260人分の署名を集め、2022年3月田川市に両方の署名を提示したと朝日新聞が報じました。

南国殖産は、計8回近隣住民説明会を開催したと主張していますが、工事着工後に開催したため、どの回も紛糾したまま事業説明には至っていません。また、その後も九州経済産業局や田川市が住民への説明会を開催するよう指導しておりますが、指導を無視したまま、近隣住民や、近隣農業者への説明会の開催も未だに行われていません。

FIT制度を運用する経済産業省資源エネルギー庁は、事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)に、「事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するように努めること」と記載、これに違反していると考えられます。

近隣住民や近隣農業者を無視したまま建設工事を強行しているため、 発電所のそばでは1年間に渡り、毎回約30名によるスタンディングデモが続いています。

理由3:森林破壊と大量の温室効果ガス排出が懸念される

田川バイオマスエネルギーは1,999kWの発電所で、同規模の信州ウッドパワーは約3万トンの原木を使用するとしています。大量の木材を生産するために、環境や生態系への負荷や、コストの上昇を招いて林業関係の企業を圧迫するなど負の影響が懸念されます。

また、木質バイオマス発電は、バイオマス燃料が燃える際に温室効果ガス(GHG)が即時に排出され、専門家の試算では排出係数は石炭火力発電を上回ります。吸収には相当な年月がかかりますし、再植林がなされずに放置されるケースも多くみられます。バイオマス発電は「カーボンニュートラルではない」ために気候変動への大きな脅威となります。

長野県塩尻市の信州F・パワープロジェクトや兵庫県朝来市の朝来バイオマス発電所を始め、森林豊かな地域での木材料の燃料不足から、木質バイオマス発電所の稼働停止が続出しています。環境や地域住民への人権配慮のみならず、経済的な持続性からも事業のリスクが高いと思われます。

皆様が応援していただけること

①要望書を提出した株主・金融機関に電話やメールやお手紙を送ってみる

②南国殖産に問い合わせてみる

▼南国殖産株式会社の連絡先(ホームページより
【本社】

問い合わせフォーム

〒890-0053 鹿児島市中央町18番地1

TEL:099-255-2111(本社代表)

③お知り合いの記者の方に取材・報道を呼びかけてみる

④SNSでシェアする

https://twitter.com/HUTANGroupJAPAN/status/1687478695320301568?s=20

参考メディア:

【福岡県民新聞】 前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工2022年8月8日 

https://www.fk-shinbun.co.jp/?p=31470

南国殖産、永山社長はご存知か?2022年9月5日 https://www.fk-shinbun.co.jp/?p=31848

南国殖産に 田川市議会がイエローカード2022年12月21日 

https://www.fk-shinbun.co.jp/?p=33233

アサデス特集 2023年5月16日 

https://www.fk-shinbun.co.jp/?p=34992

【ハンターニュース】 経済産業省がバイオマス発電絡みで公文書隠蔽|開示済きみの箇所、一転黒塗り2023年3月1日

https://news-hunter.org/?p=16492

福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(上)|発端となった県議会質問2023年3月23日

https://news-hunter.org/?p=16797

推進派県議と事業者側代理人の親密な関係|福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(中)2023年3月31日

https://news-hunter.org/?p=17053

「近隣住民説明会」、じつは顔合わせ宴会|福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(下)2023年4月4日

https://news-hunter.org/?p=17241

田川市・バイオマス発電所建設計画で南国殖産に新たな「虚偽」の疑い|書きかえられた計画書  2023年5月12日

https://news-hunter.org/?p=17638

聴いて呆れる「真摯」「誠意」|田川バイオマス・南国殖産(鹿児島)の正体  2023年6月27日

https://news-hunter.org/?p=18167

【朝日新聞 筑豊版】 バイオマス発電計画に不信感、住民が反対運動 業者は「地域に還元」2022年5月20日 

https://www.asahi.com/articles/ASQ5M6VYMQ3RTGPB001.html

【西本新聞 筑豊版】 バイオマス発電所に反対、田川で70人デモ 「田園風景な破壊される」 2022年8月10日 

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/970315/

*長周新聞「バイオマス発電はエコなのか? 燃料の自然発火で大規模火災が頻発 国内外の現地で起きている問題から考える」2023年6月3日

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/26751

木質バイオマスとパーム油火力発電所なんかいらん!

田川バイオマス発電所反対運動オンライン勉強会を開催しました 2022年5月1日