パーム油発電反対アクション

パーム油発電反対アクション

気候変動対策の切り札として、再生可能エネルギーが注目されています。日本政府も固定価格買取制度(FIT)でそれを後押ししています。しかし、FITに認定されているバイオマス発電の中には、熱帯林を破壊して莫大な温室効果ガスを排出する原因となる「パーム油発電」が含まれているのです。

 

☆祝☆(2020/4/23)Amp社が「舞鶴でのパーム油発電計画」から撤退しました!

日立造船株式会社、舞鶴市、京都府にも計画の撤回を求めましょう

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在、京都府舞鶴市で、パーム油発電所の計画が持ち上がっています。

パーム油は私たちが日常消費するインスタント食品やマーガリンなどの植物油脂としてや、洗剤・石鹸・化粧品などの日用品に使われていますが、生産時における熱帯林破壊に伴う生物多様性の損失、地球温暖化への影響、地域住民や労働者への人権侵害などを引き起こしています。

発電では、莫大な量のパーム油を使用することとなり、さらなる農地拡大による熱帯林破壊や人権侵害への影響が懸念されます。
また、日本では、実際に発電が行われている場所で悪臭・騒音などの健康被害が起こっていて、地域の方々が安心して暮らせない状況が続いています。

そのためにウータンは、他のNGOや地域の方々とパーム油発電の問題を考える学習会や署名集め、省庁や自治体・企業への申し入れ等を行ってきました。
舞鶴市のパーム油発電計画は日本でも最大級であり、使用予定の年間12万トンのパーム油は、日本で消費されるパーム油の5〜6分の1に相当します。
お隣の福知山市で稼働しているパーム油発電所は、騒音と悪臭がひどく、地域住民からは「夜も眠れない」との苦情が出ています。
2019年には燃料が流出する事故も起きました。

それを知った舞鶴の発電計画地近くのほぼ全ての住民は計画に反対し、活動を続けてきました。

▶︎「舞鶴にパーム油火力発電所なんかいらん!」舞鶴西地区の環境を考える会

そのような声を受けて、舞鶴パーム油発電事業の主体である「舞鶴グリーン・イニシアティブ合同会社」で事業を実質的に担う予定だったカナダの再生可能エネルギー投資会社Amp社は、2020年4月23日に撤退を表明しました!Amp社は毎日新聞の取材に対し、「事業規模が大きく資金調達などさまざまな課題があり、住民の強い反対があった」と語りました。

▶︎「舞鶴・パーム油発電所 オーナー会社が撤退 これで3社目 地元自治会「事業中止決断を」/京都(毎日新聞)

ウータンは、Amp社の決断を高く評価し、撤退の決断を称えます。
また、これに対して舞鶴市長は、発電所の建設・保守等を引き受ける日立造船と土地提供の京都府とともに事業の推進を継続することを表明しました。

▶︎「舞鶴・パーム油発電所 市長、事業推進を表明 地元に説明資料」/京都(毎日新聞)

ウータンは、発電所計画予定地近くの方々の健康で安心した生活の権利を奪い、野生生物の生息地を奪い、気候変動で未来の子どもたちの人生を奪うパーム油発電を進めようとする舞鶴市の多々見良三市長、日立造船、京都府にパーム油発電計画の撤退を強く求めるとともに、この事業を推進する元凶となっている固定価格買取制度(FIT制度)を担っている経済産業省・資源エネルギー庁へパーム油をFITから除くように働きかけをこれからも続けていきます。

さて、みなさまにもこの問題にご関心を持っていただくとともに、私たちに力を貸していただけないでしょうか?

これまで主体となる予定だった企業が撤退した今がチャンスです!
新しい投資会社が入ってくる前に計画を潰したいと考えています。

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H.I.Sさん、熱帯林を壊すパーム油発電やめて!!

 ウータンでは生物多様性及び気候変動に大きな影響を及ぼすパーム油の問題を長年扱っていますが、近年バイオマス発電としてのパーム油発電が日本でも問題となっています。宮城県角田市では、旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)により、パーム油を原料とするバイオ発電の建設が予定されています。日本が従来消費するパーム油の1割近くに相当する莫大な量を燃焼する計画だということです。パーム油を生産するアブラヤシ農園は、莫大な熱帯林を破壊して、オランウータンなどの絶滅危惧種の生息地を奪っています。それだけではなく、農園を作るために、熱帯泥炭地が破壊され、莫大なCO2が排出されて気候変動にとっても脅威となります。 

これまでに大手旅行会社のHISを通じてボルネオ島を訪れた旅行客も多いと思いますが、パーム油発電事業を行うことはボルネオや熱帯林のファンの方の想いを欺く背信行為と言えます。

HISにパーム油発電をやめていただくため、みなさまの声を届けていただくようお願いします。

え!パーム油が発電にも!?

 パーム油をバイオマス発電の燃料に使おうという動きが日本で出ています。食品や日用品と比べて、発電の燃料として使われるパーム油は莫大な量が必要となります。後述するFITに申請中のパーム油発電が全て稼働すると、年間約340万トンのパーム油が燃やされることとなりますが、これはなんと現在の日本のパーム油輸入量75万トンの5倍という計算になります[1]

 莫大な量が使われるパーム油発電をバイオマス発電として利用することは、欧米ではすでに敬遠され始めています。ノルウェーではすでにパーム油を原料にしたバイオ燃料の公共調達を禁止し、EUでも燃料利用を減らす方向で方針を打ち出しています。

 

私たちの電気代が知らないうちにパーム油発電に使われる!?

 なぜ日本ではパーム油発電が急増しそうなのでしょうか?それは、国の制度によって、電力会社が発電した電気を高い価格で買い取ってくれることになっているからです。この制度を固定価格買取制度(通称FIT制度)といいます。FIT制度は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーを日本国内で普及させるため、2012年から開始されました。

FIT制度では、地域の電力会社(関西では関西電力)が、20年間一定の金額で電気を買い取るように義務付けられています。買取価格を高めに設定することで、事業者は再エネ事業に参入しやすくなります。高く設定された買取価格と電力会社が本来発電する予定だったコストとの差額は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として、私たちが支払っている電気代から自動的に徴収されます。ご自宅の電気代の領収書を一度ご覧ください。2018年度の賦課金の国民負担総額はなんと2.4兆円!標準一家庭あたり年9,200円ほどです[2]。「え!そんなに!?」とびっくりしませんか?二大生産国であるインドネシアとマレーシアは、パーム油の燃料を今後見込みの少ないヨーロッパから、高く買ってくれそうな日本に売り込みにきているのでしょう。  あまりに国民負担が多くなっているので、国も慌ててFIT制度を見直そうとしているのです。

 

経済産業省資源エネルギー庁でのFIT見直しの議論

 2017年度のFITのバイオマス申請において、パーム油、アブラヤシの実の種の殻を乾燥させ砕いたPKS (パームカーネルシェル)、アブラヤシの幹であるパームトランクを合わせると、FITのバイオマス認定量の約8割を占める結果となりました。FIT制度を管轄する経済産業省資源エネルギー庁も急増するパーム油の問題を懸念し、2019年4月に改定された事業計画策定ガイドラインでは、パーム油液体バイオマス燃料は入札制になり、「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)認証のIP、SGなど、非認証油と分別管理され、労働の評価などの合法性が証明されていること」となりました。その結果、2018年の入札では、落札された案件は1件、それも後に辞退しました。今後はFITパーム油新規申請は少なくなることが見込まれます[3]

しかし、前述した通り、2018 年3⽉までにすでに認定されている⽇本のパーム油発電だけで  約170 万kWで、全てが稼働すると年間340 万トンものパーム油が燃やされることになり、これは⽇本の現在のパーム油輸⼊量 75万トンの5 倍近くに達します。

 RSPO認証については二点の大きな問題があります。第一に、RSPO認証は必ずしも温室効果ガス排出削減を保証するものではありません。第二に、2018 年 11 月に二次林を含む天然林や泥炭地を保護し、農園造成によって森林減少を引き起こさない規定に改善されましたが、あくまで新規の農園開発が適用対象であり、2005年11月以前の農園では森林からの転換が許容されています[4]。実際にウータンが活動するタンジュン・プティン国立公園北部に広がるアブラヤシ農園は、かつて貴重なラミンの森が広がり、オランウータンの殺死体を筆者が発見した場所ですが、親会社が代わってCSR活動が認められたのか、今年RSPO認証を取得しました。

 

宮城県角田市でのH.I.Sによるパーム油発電所計画

 旅行大手のエイチ・アイ・エス(H.I.S.)をご存知の方は多いかと思います。なぜかその子会社のHIS SUPER電力[5](株式 H.I.S. 66 %、ハウステンボス 34%)が、宮城県角田市で発電所建設を開始しました。環境NGOのFoE Japanなどは、20以上の国内外の環境団体および有識者・研究者とともに、「角田パーム油発電所の建設中止に関する申し入れ書」を2019 年2月5日付で提出しました。また、建設の中止を求める国内外から集まった約15万筆の署名を7月15日に提出しました。NGO側は直接手渡しでの意見交換を望みましたが、H.I.S側に拒否され送付で提出しました。これまで東京のNGOが社長と面会し、HIS SUPER電力の担当者は「署名は真摯に受け止める」としながらも、来年3月の稼働予定に向けて計画を進める方針を変わらずに示しています[6]。ウータンでも3月22日に、H.I.Sの大阪ハワイ支店前で、バナーアクションを行いました。

 

京都府福知山市での杜撰なパーム油発電所の運営

 京都府福知山市では、この地域でパチンコ経営などをしている三恵観光株式会社が、三恵バイオマス発電所を2017年6月末から稼働しました。その後、近隣住民により立ち上げられた福知山騒音悪臭対策推進会議によれば、2016年11月29日に事業者側が住宅近隣のパチンコ店空き地に明日から建設すると当時の自治会長に申し入れ、同年12月13日に第1回住民説明会を開催したが騒音等の質問には答えず、2017年2月2日の第2回住民説明会では屋外で最大50dB(デシベル)以下の音にすると説明し、2017年6月21日に「環境負荷の低減を図り、    近隣住民の健全で快適な環境を保全すること」を目的とする協定書を住民と締結しました。   しかし、2019年4月23日に推進会議により行われた測定では88dB、福知山生活環境課との同時測定では73dBが実測されました。排気口付近では、「油が焦げたような悪臭が漂い、頭痛や吐き気をもよおした」とのことです。2019年8月8日に推進会議が実施した「近隣住民健康被害アンケート調査」では、136件中、悪臭による不快感が半数以上、騒音によるストレスが 3分の1以上となり、中には悪臭と騒音に悩み引越しを考えている幼い子を持つ主婦が、悲痛な声を訴えています[7]

  2019年2月20日には、燃料のパーム油7,000   リットルが漏れて住宅街に流出する事故が起き、 ニュースとなりました[8]。地域住民の訴えを受けて、2019年9月26日に福知山市議会が、騒音や悪臭への対策を求める近隣住民の請願を採択しました[9]。12月13日の市議会で、会社が本来義務付けられている関係法令手続き状況報告書のための行政への内容確認を福知山市及び京都府に対して全く行なっていなかったことが判明しました。会社の広報資料によれば現在RSPO認証の燃料は使っておらず、 経産省が定めた2021年3月までの猶予期間までに変更を余儀なくされることになっています。

 

京都府舞鶴市での大きな発電所計画

 京都府舞鶴市では、2022年1月から西舞鶴の喜多地区の港湾用地でのパーム油発電所の運用が計画されています。事業主体は世界で再エネ開発や投資を行っているカナダの企業Ampが 出資する舞鶴グリーン・イニシアティブ合同会社(MGI)。建設、運営、保守を日立造船株式会社が行います。燃料供給はインドネシア最大級のアブラヤシ農園を持つゴールデン・アグリ・リソーシズ(GAR)社で、日本でもコピー用紙で有名なAPPを傘下に持つ(NGOから悪名高い)シナルマスグループです。京都府港湾局が所有する土地で、MGIに土地賃借を行います。

発電出力は66MWで一般家庭約12万世帯分に相当し、燃料の年間使用量は約12万トンです。

 2018年3月に京都府が「京都舞鶴港スマート・エコ・エネルギーマスタープラン」を策定。その後の舞鶴市議会での答弁で判明したこととして、2015年に日立造船が同社敷地内の重油を用いた発電を停止するにあたり舞鶴市と相談、市は地域経済の発展と雇用の継続の観点から事業継続を要望しました。その後、日立造船から「日本での再エネ需要の高まりからバイオマス発電としてパーム油発電を進めたい」と話しが市にありました。2018年の京都府エコエネルギーマスタープランで再エネの積極導入が書かれ、舞鶴でのバイオマス発電所立地促進が位置づけられたことに市も同意、第7次舞鶴市総合計画では舞鶴港での再エネを含むエネルギー基地形成が位置付けられ、舞鶴市としてバイオマス発電計画を推進する立場を明確にしました。

 2018年6月29日〜7月3日に6自治会で住民説明会があり、2018年11月14日に京都府の舞鶴港湾審議会でパーム油発電所のための分区変更について審議され、港湾関連用地から  工業用地に変更されました。審議会では唯一、立命館大学産業社会学部教授竹濱朝美委員からパーム油発電に対しての懸念が表明されましたが、事務局からは「RSPO認証油を使用すると聞いている」と回答されたにすぎませんでした。その後、2019年7月4日に、事業主体が当初予定されていたGAR社からMGI社へ変わり、事業計画が1年延期されることになり、再度住民説明会が実施されました。

 7月17日に、WWFジャパンが、「京都府舞鶴港におけるパーム油を燃料としたバイオマス発電所事業計画の見直しと燃料の持続可能性基準策定を求める要望書」[10]を経済産業大臣、京都府知事、舞鶴市長、日立造船宛に提出しました。

 ウータンでは、2019年6月1日にパーム油学習会「パーム油発電は本当に”再生可能”なエネルギーなのか? 」を、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長の泊みゆきさんをゲストに迎えて開催し、舞鶴と福知山の方もゲストにお呼びして報告していただきました。

 9月13日には、東京のNGOメンバーと一緒に舞鶴の建設予定地を視察しました。筆者も行きましたが、予定地に隣接する民家が想像以上に近いことに驚きました。舞鶴の発電所は、    福知山の発電所の40倍以上の規模です。福知山の事例を考慮すると、相当な騒音や悪臭が発生することが懸念されます。また、燃料輸送するトラックが通る道は通学路となっており、こちらも心配だと思いました。

 9月12日に京都府の環境エネルギー政策課、13日は舞鶴市役所の市民文化環境部を訪問しましたが、どちらも「持続可能性に配慮したRSPO認証を使う」「国のFITで認められている」と繰り返すのみで、どこか人ごとのような気がしました。この二点は、市議会でも繰り返し答弁されていましたし、他の自治体や企業も決まって使うフレーズとなるでしょう。国が作った「FIT制度」の運用のあり方が、この問題を引き起こしたそもそもの根底にあることは間違いありません。のちの情報公開資料からは、2016年に京都府と舞鶴市が日立造船に対して発電所誘致の文書を出したこと(舞鶴市は市長名の信書)がわかり、2017年2月の測量調査で発電予定地で「液状化する可能性が判明した」ことが読み取れます。その後の議会答弁でも、「市民に説明していきたい」と繰り返すのみで、行政が本当に住民のことを真摯に考えているのか疑念を抱かずにはいられません。

パーム油発電学習会を実施後、舞鶴の市民が立ち上がった!

 2019年9月13日には、学習会「どうなん!?バイオマス発電〜パーム油発電ってホントに地域と地球にやさしいの?」を舞鶴市で実施しました[11]。想像した以上に多くの市民の方が集まり、白熱した議論が展開されました。この学習会に参加された発電所建設予定地近くの会社経営者が、のちに「舞鶴西地区の環境を考える会」を立ち上げてくれました。最も近くに住む喜多地区の方も、のちの住民説明会で積極的に発言してくれました。

 9月18日に、学習会に参加した日本共産党の舞鶴市議小杉悦子議員が、舞鶴港でのパーム油発電について市議会で質問し、地球環境問題への影響や市民の暮らしへの悪影響等の懸念を表明しました。10月6日に、住民説明会が同市喜多公民館で行われ、約100人が参加、生活・自然環境への悪影響が懸念され、「つくってほしくない」と反対意見が続出しました[12]

 2019年10月に、舞鶴西地区の環境を考える会が、ウェブサイト「舞鶴にパーム油発電所なんかいらん!」[13]を立ち上げ、ネット署名サイトChange.org [14]で「化石燃料の20倍の温室効果ガスを排出するパーム油発電所の計画をストップして下さい!#パーム油発電所反対」を呼びかけ、なんとすでに15,000件の署名が集まっています。英語版サイトと署名も完成しました。

ぜひ皆さまも署名にご協力ください!

 

パーム油発電は止められる!

 舞鶴でのパーム油発電は、66,000kWでFIT買取価格が24円。仮に年間8,000時間稼働だとすると単純計算で1年126億円、20年で1500億円(!)。いかにも儲かりそうな事業です。 しかし、資源エネルギー庁に出された資料では、発電用のパームステアリンの価格が10年間の平均値で1トンあたり748ドルとされており、1ドル110円で12億トンだと、単純計算で  100億円近くになります[15]。RSPO認証はさらにコストが上乗せされるでしょうし、今後食用のパーム油(パームオレイン等)が禁止されると条件はもっと厳しくなります。つまり、建設費、維持費、人件費等も考慮すると、儲けるにはギリギリのラインだといえます。NGO関係者の情報では、インドネシアの企業がRSPO認証のパーム油を売ることはほぼあり得ず、なんらかの不正(RSPO認証偽装等)が間違いなく行われるだろうとのこと。ちゃんとウォッチするNGOの目が重要といえます。しかし、本当にパーム油発電を止めるために大切なのは、現地の方々の声とそれを支える市民のアクションだと思います。それは現実にできることでしょう!

[1]  FoE Japan「何が問題?H.I.S.のパーム油発電Q&A http://www.foejapan.org/forest/palm/190609.html#note3

[2] ウータン パーム油学習会の泊さん資料より http://bit.ly/31s7mAW

[3] バイオマス白書2019よりhttps://www.npobin.net/hakusho/2019/topix_01.html

[4] 2019.7.6バイオマス発電に関する共同提言http://www.foejapan.org/forest/library/pdf/190716.pdf

[5] HIS SUPER電力 https://www.his-power.jp/

[6] 週刊エコノミストオンライン「HISのパーム油発電所に批判」

[7] 舞鶴西地区の環境を考える会 https://maizuru-palm.org/?page_id=237

[8] 京都新聞 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/3890

[9] 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20190927/ddl/k26/040/394000c

[10] WWF https://www.wwf.or.jp/activities/statement/4022.html

[11] ウータン・森と生活を考える会ウェブサイト パーム油学習会より

[12] 京都民報2019年10月12日https://www.kyoto-minpo.net/archives/2019/10/12/post-23970.php

[13] https://maizuru-palm.org/

[14] http://chng.it/kxnmTdNhD4

[15] 一般社団法人バイオマス発電協会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/039_06_00.pdf

熱帯泥炭地と気候変動

熱帯泥炭地は,熱帯の地下水位の高い湿地で樹木の枝や葉などが炭化され数千年間蓄積した土地で、膨大な温室効果ガスを地中に含んでいます。特に東南アジアのボルネオ島やスマトラ島に多く見られ、その土壌の上に多くの熱帯林が形成されています。(「熱帯泥炭地と気候変動」参照

これまでにインドネシアの熱帯泥炭地の多くが開発され、残された熱帯泥炭地も開発の危機に面しています。ボルネオ島の泥炭湿地林は1920年頃に比べて6割が失われ、WWFによると2005~15年の10年間で250万haが消失するなど開発のスピードは加速しています。世界有数の熱帯泥炭地を保有するインドネシアは、開発による土地利用変化に伴う温室効果ガス排出量が年々増加しており、USAIDの2013年のデータでは国全体の65%以上を占めました。

開発に伴う乾燥化が森林火災の延焼も招いています。2015年にインドネシアのスマトラ島とボルネオ島で起こった大規模森林火災では、東京都の面積約12個分となる260万haの熱帯林が焼失しました。森林火災に伴うCO2排出量は9月からの1か月半だけで16億トン余りと推定され、これは日本の年間温室効果ガス排出量を上回る数字なのです。

熱帯泥炭地開発の要因とパーム油発電

熱帯泥炭地の主な開発には、アブラヤシプランテーションへの農地転換やアカシアプランテーションへの産業用植林地転換などが挙げられます(「パーム油の問題」参照)。アブラヤシから生産されるパーム油は、インスタント麺やマーガリン、スナック菓子などの植物油脂、石鹸、洗剤、化粧品等にも使われ、世界で最も生産されている油です。アカシアプランテーションからはコピー用紙、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等が生産され、これらは私たち日本の消費者ともつながりが深いと言えます。

様々な用途で使用できるパーム油ですが、日本では最近バイオマス発電としての用途に関心が集まっています。日本では2012年に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度)がスタートして以来、再生可能エネルギーによる発電の伸びが顕著となり、環境エネルギー政策研究所によれば2017年に太陽光発電は累積設備容量が4,280万kWと世界第2位となりました。2016年には電力の小売全面自由化が始まり、全ての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになったために多くの発電事業者が参入するようになりましたが、安定した収益が見込める固定価格買取制度がこの流れを後押ししていることは間違いないでしょう。

固定価格買取制度の対象となる再生可能エネルギーには、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電などがありますが、その内バイオマス発電は、木質バイオマスや農作物の残渣等をエネルギー源として発電するもので、中山間地域での未利用の間伐材や製材工場の残材などを有効に用いて売電収入が得られれば、地域の林業振興と山林保全につながる可能性が大いにあります。

しかしながら、固定価格買取制度の買取価格などを検討する経済産業省の調達価格等算定委員会によれば、2017年3月末までの一般木材等バイオマス全体の認定量のうち,件数ベースでパーム油を含むものが52%。出力ベースで36%でした。また、PKS(アブラヤシの種の殻)を含むものは、件数ベースで34%、出力ベースで44%とパーム油とPKSを合わせると海外産であるアブラヤシ関連だけで大半を占めることになるのです。

パーム油発電が抱える問題点

アブラヤシプランテーションへの農地転換が熱帯泥炭地開発の主要因であることは前述した通りですが、国連環境計画(UNEP)の資料によれば、土地利用転換を考慮したライフサイクルアセスメント(LCA)を含めると、パーム油由来のバイオマス燃料が排出するCO2は熱帯林伐採時には化石燃料の8倍、泥炭地を開発したものであれば20倍に達すると指摘されています。

また、地表の数%を占めるにすぎない熱帯林には地球上の生物種の半数以上が生息しており、ボルネオ島の熱帯林1ヘクタールあたりの木の種類は400種とヨーロッパ全土よりも多いのですが、プランテーション開発は熱帯林を皆伐して行われるため、希少な野生生物が生息し続けることは不可能になってしまうのです。

社会的な側面では、プランテーションでのずさんな管理の中での労働者の搾取や権利侵害、農薬による健康被害が多数報告されているほか、プランテーション企業と地域コミュニティの間の土地紛争、森とともに暮らしてきた先住民が住む土地の収奪など人権侵害の極めて悲惨な状況が各地で起きています。

バイオマスの国産材利用の観点からみますと、パーム油とPKSの調達先は100%が海外であり、そのほとんどがマレーシアとインドネシアです。NPO法人バイオマス産業ネットワークは、2017年11月に複数のNGO等の賛同を得て表明した「再生可能エネルギー固定価格買取制度バイオマス発電に関する提言」の中で、バイオマス発電の現状は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法1条」に記載されている固定価格買取制度の本来の目的である「エネルギーの供給に係る環境への負荷の低減、我が国産業の振興、地域の活性化」から逸脱している、と指摘しています。

パーム油発電に対するNGOのアクション

以上の問題を考慮して、ウータン・森と生活を考える会では、電気の小売業へ参入しようとする新電力会社の中からパーム油発電を利用している、または利用を検討していると思われる8社に対して「パーム油発電事業における熱帯林への影響について」と題した質問状を2017年7月に送付しました。質問状では、パーム油の仕入れ先や販売先、パーム油発電の熱帯林や泥炭地への影響、温室効果ガスの排出についての意識、環境への問題を認識した場合にはどのような対処を取るかなどを聞きました。なお、PKSについては「放っておいたら捨てられる資源を有効活用している」との声もあることから、当会としての立場を議論する余地があると判断し、今回はパーム油発電に限定した質問状としました。

結果として6社から回答を得て、「質問状《パーム油発電事業における熱帯林への影響について》の企業回答及び考察と提言」としてまとめました。うち1社が「パーム油発電事業から撤退する」と回答しました。3社がアブラヤシの農園拡大が熱帯林や泥炭湿地の破壊を引き起こしていることについて「知っている」と答えたものの、農園拡大に伴う熱帯林・泥炭湿地開発によるCO2排出量が化石燃料によるものを遥かに上回るという報告については「知らなかった」と回答しました。パーム油のトレサビリティは国際的に明らかにされていない事例が大半であるため、各企業はアブラヤシ農園からの流通や販売ルートの状況把握を行い環境負荷がないことを証明すべきであるが、「環境問題・社会問題に配慮した持続可能なパーム油の生産方法の基準を定めたRSPO認証油 やトレサビリティの明確なパーム油を使用している」と回答した企業は1社にとどまりました。

以上の回答から、熱帯林及び泥炭地破壊によるCO2排出を認識していない電気事業者が大半であることがわかりました。現行の制度を続けることは、日本の適切な再生可能エネルギー普及の妨げとなり、気候変動をさらに加速させることにつながる可能性があります。

 そのため、ウータン・森と生活を考える会では、固定価格買取制度を運用する経済産業省、資源エネルギー庁、および調達価格等算定委員会に対して、「パーム油を固定価格買取制度の対象から外すよう要求する提言書」を2017年11月28日に郵送しました。

パーム油発電の現状は…

その後の経過として、(パーム油が該当する)液体バイオマスの調達には第三者認証など何かしらの基準が求められるようになった他、調達価格は入札制となり、企業にとっては参入が難しい状況となりました。

しかしながら,アブラヤシプランテーションは明確に世界の熱帯林減少の大きな要因となっており、今後も東南アジアのみならず南米やアフリカへの拡大が懸念される以上、プランテーション開発を推し進める要因となりうるパーム油発電そのものを取りやめるべきです。また、アブラヤシ殼であるPKSによるバイオマス発電についても、売れることがわかれば企業は生産を拡大する可能性が高くなり、開発が推し進められる構造はパーム油と同じであると考えられるために、多くの日本のNGOと同じく、ウータン・森と生活を考える会も反対の立場をとっています。

ウータン・森と生活を考える会では、今後もパーム油発電の問題について、情報を収集し、無くなるように働きかけていきますので応援をよろしくお願いいたします。

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