パーム油学習会 (~2019)

パーム油学習会

私たちが日々消費している一方、熱帯林をプランテーションへ転換するなど、環境・人権・社会に様々な影響を与えているパーム油や木材等のコモディティについて学びを深めることで、私たちがどのような持続可能な社会を創り、熱帯林を守っていくことができるかを参加者と考えます。

「どうなん?!バイオマス発電〜パーム油発電ってホントに地域と地球にやさしいの?」 2019.9.13@舞鶴市、9.14@京都市
ゲスト:
飯沼佐代子さん(地球・人間環境フォーラム)
石崎雄一郎(ウータン・森と生活を考える会 事務局長)
泊みゆきさん(NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長)
三谷義臣さん(福知山騒音悪臭対策推進会議)
大槻賢孝さん(舞鶴市市民)

9/13@舞鶴市、9/14@京都市「どうなん?!バイオマス発電〜パーム油発電ってホントに地域と地球にやさしいの?」は、連日60人以上の参加をいただき、大盛況となりました

「ボルネオ島などパーム油の生産現場で起きていること」地球・人間環境フォーラム 飯沼佐代子さん、ウータン 石崎雄一郎〜パーム油の生産現場では、大規模な熱帯林伐採による生物多様性の損失や、莫大な二酸化炭素を放出する熱帯泥炭地の開発、農園での労働者への人権侵害、そして地域住民や先住民の暮らしが土地収奪により破壊されている人権問題を提起しました。

「パーム油発電の持続可能性とFIT」バイオマス産業社会ネットワーク 泊みゆきさん経産省資源エネルギー庁によるFIT(固定価格買取制度)は、国民の支払う電気代から再生可能エネルギー拡大のために支払われているお金ですが、それがパーム油発電に使われることで、かえって莫大な温室効果ガスを排出し、熱帯林と生物の命が失われ、労働者や先住民の人権が奪われるだけでなく、日本国内で発電所付近の方の暮らしが侵害され、日本の森林資源が使われなくなるなど、全く本来の趣旨が果たされなくなってしまう可能性があることが示されました。

「福知山でのバイオマス発電所と公害」福知山騒音悪臭対策推進会議 三谷義臣さん実際に福知山ではパーム油発電所が稼働していますが、付近の住民からは悪臭と騒音の被害が訴えられています。会社は当初の説明と違い、ちゃんとした対応をしていません。地域を代表して三谷さんから具体的な生々しい事例を紹介いただきました。

「舞鶴でのバイオマス発電所の計画」舞鶴市市民 大槻賢孝さん舞鶴で計画されているパーム油発電所の話題を具体的な資料の説明などでご提供いただきました。

第13回パーム油学習会 2019.6.1
「パーム油発電は本当に”再生可能”なエネルギーなのか?」 〜FITによるバイオマス発電の課題と現状〜」
ゲスト:泊みゆきさん(NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長)

 NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長の泊みゆきさんをゲストにパーム油発電を中心にバイオマス発電の問題をお話いただきました。また、福知山でのパーム油発電の騒音・悪臭に悩まされている住民の代表の方、舞鶴でのパーム油発電所建設の情報をいち早く知らせていただき取り組んでいる方からも現地の生の情報をいただきました。この場から、パーム油発電に対する市民のアクションが続いており、気づき→学び→行動にいたるいい学習会になったと思います。

以下、参加者の方の感想をシェアさせていただきます。

「パームオイルを燃やすバイオマス発電事業が国内で何ヵ所か計画され、一ヵ所はすでに発電がはじまっています。(福知山市)旅行会社大手のHISは建設をはじめています。パームオイル発電は最悪の選択なのだという理由が、よくわかりました。パームオイル発電の炭素排出量は、石油並とのデータが出ています。バイオ燃料のなかで一番多いです。そして、もともと環境に問題のあるパームオイル。パームオイル発電をする利点はなにひとつありません。あるのは、環境破壊だけです。HIS が賢明な選択をすることを願ってやみません」

2019.0331-0407「村人が語る!ボルネオ島の火災最前線とこれからの森づくり」 ゲスト: ドニーさん、フェブリさん(タンジュン・ハラパン村青年団メンバー)

2019/3/31 村人が語る!ボルネオ島の火災最前線とこれからの森づくり in 東京〜村の青年団と日本の学生との交流を通してこれからの熱帯林保全を考える〜

2019/4/7  村人が語る!ボルネオ島の火災最前線とこれからの森づくり  in 大阪

オランウータンなどの希少種が棲む生物多様性の宝庫ボルネオ島。この島の大半を覆っていた原生林は、違法伐採やパーム油生産のための大規模農園、森林火災などによって半減しました。日々消費されるスナック菓子やインスタント麺、マーガリン、コピー用紙など、ボルネオ島の熱帯林減少と私たちの消費生活とは決して無関係ではありません。一方で、かつて違法伐採や金採掘に携わっていたタンジュン・ハラパン村の村人は、NGOの支援などにより森林再生の道に進みだしました。このたび、タンジュン・ハラパン村の青年団メンバーをゲストを招き、現場で起っていることや村の将来に向けた活動など生の声をお聞きし、これからの熱帯林保全に向けて何ができるかを会場のみなさまや昨年末のスタディツアーに参加した日本の中高生と共に考えました。

#ボルネオ #ボルネオ島 #村人 #熱帯林保全 #森林火災 #タンジュンプティン #タンジュンハラパン

第12回パーム油学習会 2019.2.2
「アブラヤシ農園と人権の問題〜インドネシアの「希望の地」パプア州から」
ゲスト: ディアント・バクリアディさん(インドネシア土地問題情報センター代表、京都大学東南アジア研究センター招聘教授、前インドネシア国家人権委員会副委員長)

京都大学招聘研究員のディアントさんをお招きして、ワンワールドフェスティバル内のプログラムで、パーム油学習会 第12回「アブラヤシ農園と人権の問題〜インドネシアの「希望の地」パプア州から」 を開催しました🎤 70人を超える多くの参加者が集まり、インドネシア・パプア州の熱帯林破壊や人権侵害の話しを聞きました。植民地支配下時代の欧米諸国の政策など問題は根深く難しいものだと実感しました🇮🇩 最後の楽園とも言われるパプアの美しい熱帯林、いまもなお独自の文化を守る先住民の暮らしなど守らないといけないものの大きさを感じました🌳

2018.11.3,6
ウータン30周年記念
海外ゲスト講演 「熱帯林保護のこれまで、森林再生のこれから」

ウータン・森と生活を考える会の30周年記念として、2000年代の違法材キャンペーンで協働したTelapakのヤヤットさんと村の青年団として苗づくり・植林を始めたイラさんの海外ゲスト講演を関西と東京で行いました。インドネシアの違法伐採対策を長年続けてこられたヤヤットさんの話しから問題の深刻さと根強いNGOの尽力がうかがわれました。アブラヤシ農園を辞めて青年団として森林再生に舵をきったイラさんは地域主体の環境保全の芽が期待できるお話をしてくれました。若い参加者も多く、後半の質疑応答でも高校生や大学生が鋭い質問を投げかけてくれました。

第11回パーム油学習会 2018.7.21

ゲスト:
飯沼佐代子さん(地球・人間環境フォーラム)
「パーム油問題解決!アクションガイド?-アジアの未来に熱帯林を残せるかー」

川上豊幸さん(レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表)
「パーム油問題解決に向けた金融や企業に対する取り組み状況について」

パーム油についての学びを深め、熱帯林や泥炭地を守るために何ができるかを参加者と共に考えるパーム油学習会の第11回目では、熱帯林保全NGOのネットワーク「プランテーション・ウォッチ」の中心メンバーをお招きし、”プランテーション拡大に対して消費者が実際にできるアクション”について学び・議論しました。今回はいつもよりお申し込みやイベントのシェアなどの反響が大きく、「問題解決のアクション」こそが多くの人が知りたい・議論したいことなのかな?と感じました。まずは、第一歩となる「伝える」アクションとして提案したハッシュタグ運動&自分のできること・したいことの宣言にも、みなさん積極的に協力してくださいました。

第10回パーム油学習会「泥炭地回復への挑戦とエンタイトルメント-人々の積極的参加を得るには?」 2018.4.14

ゲスト:水野広祐さん(京都大学東南アジア地域研究研究所総合地球環境学研究所教授)

東南アジアの熱帯林に特有の泥炭地は特にインドネシアに広がり、この特性にそぐわないアブラヤシや産業用造林の開発が温室効果ガス排出や森林火災に拍車をかけています。一方でこの土地で暮らしている人たちがいて、彼らの主体的な権利を尊重した形での適正技術による開発が、大規模技術に対して必要であると言えます。水野先生は、泥炭地でも可能な農業である「パルディカルチャー」を勧めておられて、1)泥炭火災予防のための荒廃泥炭地への簡易ダムの設置、2)在来種の植林と成長調査、木材・非木材産物に関するマーケット調査が必要であると訴えます。

熱帯泥炭地保全にとってはやはり現地に住む人の主体的な権利と関わり(エンタイトルメント)が重要だと認識させられた学習会となりました。

水野先生は日本の科学者2017年12月号にも論考を寄稿されています。

2018.3.23,24,26
海外ゲスト講演会

FNPFイサム氏「地元NGOに聞く!ボルネオ島の森林再生と火災のリアル“現場話”」

インドネシア中央カリマンタン州で小学校を出てすぐに違法伐採に従事した後、NGOで働いたイサムさん。現在、植林や有機農業に精力的に取り組んでいます。2015年の大規模森林火災では果敢に消火活動を行なったイサムさん。挫けずに何度も森林再生に取り組む臨場感ある生の話をしていただきました。

2018.2.10
ウータン総会特別講演会

琉球大学 大田伊久雄さん「森林認証制度から考える世界の森林保全」

1992年の地球サミット以来、他の生態系に悪影響を及ぼすことなく、地域・国家・地球レベルにおいて責任ある森林管理と利用を行うための「持続可能な森林管理」の動きが進みだしました。「持続可能な森林管理」が行われているかどうかを第三者機関が審査し認定することによって、消費者が安心して木材製品を購入できるようにするしくみとして「森林認証制度」があります。FSC認証やSGEC/PEFC認証などの違いや課題、消費者へ向けたメッセージ等をウータンの初期から活動に参加されていた琉球大学教授の大田伊久雄さんにお話いただきました。

2018.2.4,7
海外ゲスト講演会
ウェットランド・インターナショナル ヨヨ氏「インドネシアの泥炭地の現状と回復への取組み」

10年間で2100万ヘクタールから1490万ヘクタールに減少したインドネシアの熱帯泥炭地は、生物多様性、気候変動、水環境の調整など環境や社会にとって重要ですが、産業用植林やアブラヤシ産業での伐採や排水、森林火災によりどんどん失われています。ウェットランドでは、カナルブロッキングや深井戸掘削などでの再湿潤化や再植林により熱帯泥炭地の回復を行なっています。生命の権利(バイオライツ)を重要視していて、条件付きのマイクロクレジットとコミュニティ・エンパワーメントを通しての環境修復/保全を結びつけました。インドネシア政府は温室効果ガス削減の高い目標を国際的に掲げており、One Map政策やモラトリアム政策を打ち出し、泥炭地回復庁を立ち上げました。ウェットランドもその動きと協働し、インドネシア泥炭地パートナーシップ基金を立ち上げています。

第9回パーム油学習会「熱帯泥炭は地球の心臓と肺」~ボルネオ熱帯林から見る地球温暖化防止の最前線~」 2017.12.2

ゲスト:大崎満さん(北海道大学農学研究科名誉教授)

長らくインドネシアの熱帯泥炭地も研究されてきた北海道大学の大崎満先生は、海岸域生態における炭素をブルーカーボンと称することに対し、鮮やかな紅茶色が特徴の泥炭地の水から、泥炭地の炭素はゴールドカーボン、世界で最も自然資本の豊かな生態系である熱帯泥炭地をゴールドランドと例え、土壌の特性、流域も含めた保全のあり方を提唱されています。

土壌学を専門とする研究者ならではの時間的・空間的に壮大なスケールのお話しに、熱帯泥炭地の価値と特性を生かした保全が求められていることを実感しました。とても参考になる学習会となりました。

大崎先生は日本の科学者2017年12月号にも論考を寄稿されています。

第8回パーム油学習会「たっぷりボルネオ島の現地報告」 2017.10.9

講演者:神前進一、石崎雄一郎、近藤美沙子(ウータン・森と生活を考える会)

ウータンが2017年から取り組んでいる熱帯泥炭地保全と再生にむけた先進地域視察の報告を当会アドバイザーの神前進一先生から長年植林活動を行なってきたタンジュン・プティン地区での新たな試み「スポット植林」の最新報告を若手通訳として活躍する近藤美沙子さんから行いました。(資料ご参照)

事務局長の石崎雄一郎からは、スンガイ・プトゥリ地区への訪問を元に、以下のような「熱帯林を守るための方法」としての問題提起を行いました。  1.政府の保全政策への働きかけ:モラトリアム、HCVF(High Conservation Value Forest)の開発禁止等、国の規制に働きかける。2.アドボカシー:違法性のある操業をしている企業に対し、法的な開発停止へのアプローチを試みる。3.コミュニティ・オーガナイズ:地域住民が自らの土地利用区分とその価値を知り、開発企業が村に入ることに反対するように促す。4.キャンペーン:署名等、外部の声を集めて企業に申し入れをする。世論を高めて、企業にプレッシャーをかける。5.企業の保全に向けた自主的な行動変容への働きかけ:RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの認証システムやグローバル・コンパクト等の目標・宣言・認証システムへの参加等、企業の環境保全目標への自主的な取り組みを促す。6.消費者への働きかけ:消費者が声を上げることで、企業の変容や政府の規制に訴えかけるように促す。

第7回パーム油学習会「油まみれな食生活への政治経済史ーパーム油など油脂の消費拡大を促した構造的変遷」 2017.7.29

講演者:平賀緑さん(京都大学大学院国際政治経済学)

体や環境にやさしいと言われる食べ物、いわゆるオーガニックや無農薬といった食べ物はこだわりが強く、高値であることが多いですが、逆になぜ、食べると太ってトクホを買わないといけないような、しかも地球の裏側から輸入してきた油や砂糖を使ったジャンキーな食べ物の方が、安く大量に出回っているのでしょうか? その背景には経済成長最優先の基本食材を取り扱う多国籍企業や巨大穀物商社、ファーストフード、医薬品業界、輸出を後押しするアメリカ政府などなど…政治経済が深く関わっています。(実は太平洋戦争での日本の動きも後押ししたとのこと!)

自分の家族が食べるものを地域の農家が育てることはagriculture、つまりculture(文化)になりうる。単一作物を農薬や化学肥料で作るagribusinessはcommodity(商品)を作っているにすぎない。パーム油を通して、私たちにとって「食べ物」とはなにかが見えてくるような気がした学習会でした。

2017.7.7
ポール・パボロさん講演
「パプアニューギニアの森の破壊と村人の生活の今〜森は生命の源

Global Witnessによる紹介動画(英語)

2017年7月7日、大阪の聖パウロ協会で、「パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会」と「ウータン・森と生活を考える会」の共催で、ポール・パボロさん特別講演「パプアニューギニアの森の破壊と村人の生活は今〜森は生命の源」を開催し、24人の参加者と熱く語り合いました。ニューブリテン島にある「母なる宇宙の最後の原生林の水の秘境」であったポールさんたちの森は、世界最大の伐採企業リンブナン・ヒジャウ社によって伐採され、その一部は日本ともつながっているのです。

2017.4.16
C.O.Pハルディさん講演「ボルネオの森林破壊とオランウータン

C.O.Pの活動紹介動画

2017年4月16日に大阪のドーンセンターで、 ボルネオ島で精力的にオランウータンの保護活動や開発問題へのアドボカシーに取り組むC.O.P(Centre for the Orangutan Protection)の代表ハルディさんの講演会を熱帯林保護ネットワーク(JATAN)とともに開催しました。 遺伝子が人間とほとんど変わらないというオランウータンが人間の手による開発の影響や違法取引によって悲惨な状況に置かれていることから「オランウータンが直面する問題と直に闘い、オランウータンなどが棲む生態系を守るため」にNGOを立ち上げたハルディさんによる熱い講演が行われました。

第6回パーム油学習会「アブラヤシ栽培における小農の役割と課題」 2016.12.10

講演者:神前進一、笠原英俊 (ウータン・森と生活を考える会)

近年増加が著しく無視できない存在となってきた小農によるアブラヤシ生産の状況について、大阪大学で 教官をされていた神前進一さんと、元小学校教諭で「ウータン・森と生活を考える会」の古くからのメンバーである笠原英俊さんにお話をしていただきました。 

2016.2.6
C.O.Pリヌスさん講演「オランウータンを守れ!~インドネシアNGOが森林火災を語る~

 ※インドネシア人ゲストの講演は動画の12分から※

インドネシアから最前線の現場でオランウータン保護活動を精力的に行っているNGOのC.O.P(Centre for Orangutan Protection/オランウータン保護センター)のリヌスさんによるゲスト講演。
先住民の家に生まれ、オランウータンの着ぐるみを着てビラをまくなどユーモラスな一面を持ちながら、熱心に活動を続け森林破壊を語る目は真剣そのものです。
2015年後半にボルネオ島に多大な被害をもたらした大規模森林火災・・
現場では何が起こったのか?
オランウータンはどうなったのか?
最前線の現場で活動するリヌスさんに現場をお話いただくとともに、「森林火災と私たちの生活のつながり」「解決のために私たちができること」 を参加者と一緒に考えます。