プロスペックAZ、みずほリース、中部電力及び金融機関/投資家に対して群馬県渋川市でのバイオマス発電事業見直しを求める要請書を郵送しました!

プロスペックAZ株式会社、みずほリース株式会社、中部電力株式会社が出資している「渋川バイオマス発電合同会社」は、群馬県渋川市伊香保町水沢地区において、固定価格買取制度(FIT)の売電による木質バイオマス発電事業を展開しています。

https://www.chuden.co.jp/publicity/press/1214469_3273.html

「ウータン・森と生活を考える会」と「水沢・伊香保町の未来を考える会」は、下記理由により、プロスペックAZ、みずほリース、中部電力に対して群馬県渋川市でのバイオマス発電事業見直しを求める要請書を2025年6月10日付で郵送しました。

同時に、各種公開資料等から、プロスペックAZ株式会社、みずほリース株式会社、中部電力株式会社の株主や運用機関、融資銀行と想定できる金融機関等に対して、渋川バイオマス発電合同会社、及びプロスペックAZ株式会社、みずほリース株式会社、中部電力株式会社に対するESGエンゲージメント(環境・社会・企業統治に配慮するよう対話と働きかけを行うこと)の強化を要請し、改善が見られない場合は投融資の見直し(ダイベストメント)を行うことを要請しました。

本要請書に対しての返答を、2025年6月23日までに求めております。

理由1:水沢うどんなど、県内屈指の歴史ある観光地としての価値が毀損される

 渋川市伊香保町水沢地区は、全国的にも有数な温泉として愛される伊香保温泉があり、水澤観音やうどん屋街などに年間100万単位で観光客が訪れる群馬県にとって最も大事な観光地です。

水沢の生命線である美味しいお水は限りがあり、時期によって渇水もするため、この地では水源の確保と分配に苦労をしてきました。繁忙期に不足がちになる水を、住民が望まないバイオマス火力発電に奪われることは許されません。万が一、水沢の水が出なくなれば、取り返しのつかないことになります。

群馬よいとこ観光振興条例では、豊かな自然、温泉、歴史、文化、食、産業等の本県の魅力を再認識し、誇りを持つとともに、観光資源として有効な活用を図ることとあり、百年もの歴史ある観光地でのバイオマス発電事業は、条例にそぐわない事業であるといえます。

理由2:バイオマス発電所からの悪臭・騒音被害、爆発事故や交通リスクにより住民の生活が脅かされる

近年、木質バイオマス発電所での事故が頻発しており、鳥取県米子市の「米子バイオマス発電所」では粉塵爆発によりボルトが民家へ飛散しました。米子市の住民からは、以前から夜間の騒音への苦情が寄せられており、発電所を運営する会社が実施する周辺の住宅の防音対策について、立地を仲介した米子市も必要な費用の半額を負担することになりました。京都府福知山市では、2017年に稼働したパーム油を  利用したバイオマス発電所からの悪臭と騒音による被害を訴える住民が続出し、2020年7月には   住民から公害調停が申し立てられ、同年12月に発電所は廃止されました。

自然豊かな水沢地区は、鹿、キツネ、タヌキ、リス、熊など色々な動物が棲息し、夜はフクロウ、朝にはウグイスなど色々な鳥の鳴き声が聞える素晴らしい場所です。24時間稼働で機械音がする所には、  動物は住めなくなる可能性があります。また、燃料の木質チップを遠方から毎日運送する大型トラックによる交通事故のリスクや、排出するNOx、SO2、ばいじん等排気ガスからの健康被害が懸念されます。

理由3:森林破壊と大量の温室効果ガス排出が懸念される

渋川バイオマス発電合同会社は1,990kWの発電所で、同規模の信州ウッドパワーは約3万トンの原木を使用するとしています。大量の木材を生産するために、環境や生態系への負荷や、コストの上昇を招いて林業関係の企業を圧迫するなど負の影響が懸念されます。

また、木質バイオマス発電は、バイオマス燃料が燃える際に温室効果ガス(GHG)が即時に排出され、専門家の試算では排出係数は石炭火力発電を上回ります。吸収には相当な年月がかかりますし、再植林がなされずに放置されるケースも多くみられます。バイオマス発電は「カーボンニュートラルではない」ために気候変動への大きな脅威となります。

長野県塩尻市の信州F・パワープロジェクトや兵庫県朝来市の朝来バイオマス発電所を始め、木材料の燃料不足から、木質バイオマス発電所の稼働停止が続出しています。なお、本事業での燃料は、邑楽町のグリーンマテリアルから調達するとの情報があります。過剰な伐採のリスクは、環境や地域住民への人権配慮のみならず、経済的な持続性からも事業のリスクが高いと思われます。

 

【渋川バイオマス発電所の概要】

渋川バイオマス発電合同会社

群馬県渋川市伊香保町水沢字植木原83番4

発電出力:1,990kW

出資会社:中部電力(50%)、エムエル・パワー(40%)、プロスペックAZ(10%)

 

主な要請書送付先:

事業者:

中部電力、みずほリース、プロスペックAZ

 

金融機関:

みずほフィナンシャルグループ

三菱UFJフィナンシャル・グループ

三井住友フィナンシャルグループ

北洋銀行、京葉銀行、千葉銀行

三井住友トラストグループ、農林中央金庫、

信金中央金庫、みずほ信託銀行、

丸紅株式会社、リコーリース株式会社

第一生命、明治安田生命

ヒューマンリソース&アール、DOWAホールディングス

日本マスタートラスト信託、日本カストディ信託

ステートストリートバンク、JPモルガン・チェース

 

返答先及び本件に関するお問い合わせ先:

E-mail:contact-hutan@hutangroup.org 

ウータン・森と生活を考える会 担当:石崎雄一郎( 080-8293-5006 )

【プレスリリース】莫大な温室効果ガスを排出する住友商事の仙台「輸入バイオマス発電」事業のESGリスクに投資家が懸念〜金融機関36社中8社とNGOが対話を実施、6社は住友商事へのエンゲージメントを実施または予定と回答〜

2022年9月8日

ウータン・森と生活を考える会

Mighty Earth

プランテーション・ウォッチ

熱帯林行動ネットワーク

Fair Finance Guide Japan

Fridays For Future Sendai

・森林/生物多様性や気候変動の問題に取り組むNGO/市民団体5団体は、2022年3月に、バイオマス発電事業と北米における木質ペレット製造事業に関与している住友商事株式会社(以下、住友商事)に投融資していると想定される、日本国内の機関投資家/融資機関36社に対し、住友商事へのエンゲージメント及び投資撤退(ダイベストメント)を行うことを要請し[i]、その結果をまとめました。

・日本国内の金融機関36社のうち、23社からメールや電話にて回答を得ました。うち8社とオンラインでの対話を実施しました。6社が住友商事に対するESGエンゲージメントを実施済みまたは実施予定と回答しました。また、18社は自社で策定した/または加盟しているESGに関する方針・計画/イニシアティブ等[ii]に基づいて行動していくと回答しました。

・対話した金融機関からは、「ESGを重視した投融資が重要であり、NGOからの現地情報は有益であった。大規模な輸入バイオマス発電は、想像していた以上にGHG排出や生態系への影響が大きいことがわかった。今後もNGOとの対話を行いたい」などのフィードバックを得ました。

・2022年7月には、仙台港バイオマスパワー合同会社(住友商事を中心とした共同出資)による11.2万kW(国内最大規模)のバイオマス専焼火力発電事業が着工されたと報道されました[iii]

・住友商事は、バイオマス発電の燃料となる木質ペレットの北米からの輸入最大手の一つですが、米国南東部は広大な米国の中でも最も豊かな森林を有する地域といわれています。ノースカロライナ州には広葉樹と針葉樹の混交林や海岸沿いの湿地林が広がり、ブラックベア、ボブキャット、コヨーテなどの貴重な生息地です。しかし、木質ペレット生産のために伐採が進んでいます[iv]

・各国の科学者・NGO・メディアは、「バイオマス発電はカーボンニュートラルではない」として、温室効果ガス(GHG) 排出による気候変動への悪影響の懸念を表明しています[v]。生産、加工、輸送、そして燃焼の段階も含めたライフサイクルのGHG排出は、森林が再生しなかった場合、石炭火力と比べておよそ2倍になります。

・本事業と同様に、FIT制度(固定価格買取制度)で認定されたバイオマス発電事業は日本全国に700以上あり、輸入燃料に依存する大規模なバイオマス発電事業は200を超えます。これらの発電所が稼働すれば、莫大な温室効果ガス排出により気候変動が加速し、木質ペレット生産地である北米をはじめ、世界の森林の減少・劣化を招き、生物多様性が脅かされる危険性がますます高まります。

・輸入バイオマス発電事業は、今後、石炭火力発電と同様に座礁資産化するリスクが高くなっていくことが予想されます。私たち森林/生物多様性や気候変動の問題に取り組むNGO/市民団体6団体は、住友商事に対して、仙台港での輸入バイオマス発電事業の即時中止を求めています。

・また、金融機関に対して、住友商事の仙台港での輸入バイオマス発電事業を見直すよう住友商事に対してエンゲージメントを行うことを引き続き求めていくと同時に、他の輸入木質バイオマス発電事業者に対しても、同様のエンゲージメントを行うことを要請します。また、今回の要請に回答が無かった金融機関に対しては、NGOとの対話を重視し、今後対話を実施するよう求めていきます。

 

本件のお問い合わせ先:

contact-hutan@hutangroup.org 

050-5876-7925

   https://hutangroup.org/

(ウータン・森と生活を考える会 担当:石崎)


[i] http://hutangroup.velvet.jp/db/pdf/20220311sumitomo.pdf

[ii] 責任投資原則(PRI)、日本版スチュワードシップ・コード、環境方針、人権方針、GHGネットゼロ目標、NDPE原則、赤道原則、ネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアティブ(NZAM)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムなど

[iii] https://www.kensetsu-sinbun.co.jp/miyagi/article/bukken-area1/8983/

[iv] [Mighty Earth]新報告書「隠蔽の煙幕:住友商事の『カーボンニュートラル』失敗の数々」 

https://www.mightyearth.org/sumitomoclimatejp

[v] [500名以上の科学者]バイオマス燃料のための森林利用に関する書簡

http://ur0.work/DeW5

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