東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対して、パーム油・紙の調達基準(案)に関する意見を提出しました

ウータン・森と生活を考える会は、3月30日に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対して、パーム油・紙の調達基準(案)に関する意見を以下の内容で提出しました。

1)パーム油に関して、ISPO、MSPOは外すべき

ーISPOはインドネシア政府やパーム油産業・業界団体、MSPOはマレーシア政府やパーム油産業・業界団体による認証で、基準はRSPOに比べて甘いことが、先住民等森林とともに暮らす人々を支援するNGO Forest Peoples Programmeによるスコアも低い。https://www.forestpeoples.org/sites/default/files/documents/Palm%20Oil%20Certification%20Standards_lowres_spreads.pdf

ISPOとMSPOは持続可能性の基準を満たすことは到底不可能であり、外すべきである。

2)パーム油に関して、「使用するパーム油量に相当するクレジットを購入する方法も活用できることとする」を外すべき

RSPOクレジットはお金を出せば持続可能でないパーム油を使用してもいいことになり、オリンピックで使用される商品や製品そのものが持続可能性を満たすことにはならないため、外すべきである。

3)紙に関して、PEFC(SGECを含む。)の認証紙は外すべき

業界主導のPEFCやSGECは審査基準が緩く、また審査方法も非常に甘く、持続可能な森林認証としてはFSCに比べて物足りない内容である。例えば、インドネシアでは管理地に土地紛争と泥炭地上の植林地を多数抱えているAPP社(Asian Pulp & Paper)やAPRIL社(Asia Pacific Resources International Holdings Ltd)もPEFC認証を得ているため、認証材として購入可能となってしまうので対象から外すべきである。

参考: http://www.alterna.co.jp/23869

4)紙に関して、FSC認証にも問題があることを認識し、周知すべき

FSC認証に対しても、FSC-WatchなどのNGOが2006年以来,一貫して問題点を指摘し続けている( https://fsc-watch.com/about/ )。特に大規模産業植林や原生林の伐採にも認証を与えているのは特に大きな問題である。先日、Greenpeace Internationalが住民の権利保護や森林管理の改善に寄与していないとしてFSCのメンバーシップを更新しない発表をした( https://www.greenpeace.org/international/press-release/15589/greenpeace-international-to-not-renew-fsc-membership/ )。FoE英国もFSCは推奨しないとするなど,大手NGOもFSCから距離を置いている( http://www.fsc-watch.org/archives/2008/09/22/Friends_of_the_Earth )。 ただし、上記NGOは、PEFCその他の代替案となる認証はさらに悪いと指摘している。認証としては、FSCが一番ましであるが、すべての紙は古紙、再生紙で賄うことを推奨する。