ラミン材キャンペーン

ウータンが初めて国際的な問題に取り組み、企業・自治体・政府に向けて違法材であったラミン材根絶に向けて取り組んだ活動です。 2007年には「違法ラミン材停止宣言」を表明し、国際的な違法材停止に繋がりました。

ラミンとは東南アジアの熱帯地域の原生林に生育する樹種です。利用価値が高く、違法伐採の象徴的な種と言われています。 日本ではフローリング材や家具、手すり、ほうきの柄、工作用木材など多品目に使用されていました。

ストーリー1 ラミンが違法材へ

2000年、インドネシア・イギリスのNGOがインドネシア国立公園での違法伐採問題を訴えるために来日したことがきっかけでした。 彼らの訴えを受けてウータンを含む3団体(NPO法人AMネット、熱帯林きょうと(当時))が「ラミン調査会」を立ち上げました。 2001年にはインドネシア政府が「ラミン材伐採、取引停止」の法令を制定し、さらにワシントン条約付属書Ⅲへの登録が行われるなど 世界的にラミン材取引禁止が進んでいました。しかし、日本では多くのホームセンターでラミン材製品が販売されているなど、 違法材が疑われる製品が数多く出回っていました。

ストーリー2 ラミン材のほうきでチャンバラ…

ウータンは、2001年より企業へのアンケートなどを行っていましたが、思うようにラミン材使用停止には結びきませんでした。 そこで、メンバーが勤めていた学校で使われていた「ほうきの柄」に注目しました。当時、ほうきの柄はほとんどがラミン材を 使用したものでした。私たちは大阪のほうきメーカーへ出向き、事情を説明してラミン材を使わない竹材のほうきを用意して頂きました。 同時に羽曳野市内の小学校24校に申し入れを行い、その中の3校が竹材を使用したほうきへの転換に応じてくれました(2003年)。

この成功例を契機に全国の県庁所在地の市(52ヶ所)、大阪府全市(33ヶ所)へ「ほうき・モップに関するアンケート」を行いました。 合わせて企業への働きかけも行い、ほうき・モップメーカー大手2社がラミン材から代替品への変更を表明してくれました。2001年の 活動初期ではラミンという樹種が違法伐採材であることも全く認知されていませんでした。 それでも行政の方や企業の方との話し合いの際に、根気強く説明とお願いを一件一件行っていきました。

ストーリー3 企業がラミン材取引停止へ

企業への働きかけを強化するため2004年よりラミン材取引・製造・販売業者(285社)に向け「ラミン材停止依頼」を送付しました。 大手の企業を相手に、時には直接会社へ訪問し、在庫の確認など対応頂けるようにお願いすることもありました。 すると、こちらの予想に反して、多くの企業がラミン材取引停止を表明してくれました。企業のHP等で「違法材不使用」をPRしてくれる 企業も見受けられました。その後もラミン材を使用する関連企業へラミン材停止依頼を他のNGOとも協力して行い、2008年までに 日本国内企業750社がラミン材の取引停止をし、日本国内でのラミン材取引はほぼ停止するに至りました。

ストーリー4 海外の密輸経路を追え!

その一方で、「他国(シンガポール、マレーシア等)を経由してラミン材が密輸されている」という情報がインドネシア森林局を通じて 報じられていました(2003年)。これを受けて、ラミン材の輸入(密輸)経路の調査をTelapak(インドネシアNGO)、EIA(イギリスNGO)と 共に開始しました(2005年)。実際に現地へ赴き、マレーシア政府やシンガポール企業(80社)へのラミン材取引停止を依頼して廻りました。 同時に明らかになった違法取引を国際会議でPRし、国際的な取り締まりが強化されるよう働きかを行いました。 最終的にシンガポール企業の85%は2007年にはラミン材取引停止に応じてくれました。国内外の多くのNGOの仲間や協力して頂いた企業、 日本政府や各国政府の協力により、2007年「違法材ラミン密輸停止宣言」を行うまでになりました。

ストーリー5 その後の活動とのつながり

2009年までに最盛期の95%以上の国際取引が停止しました。日本国内はもとよりインドネシアやシンガポールなどの海外のNGOと協力し、 ラミン材取引停止を実現できました。しかし、ラミン以外にウリンなどの熱帯材も違法材にも関わらず取引は続いています。 ウータンはラミン以外の熱帯材停止にも2008年以降、取り組んでいきました。また、失われてしまった森林を回復させるべく、 現地へのエコツアーを通じて植林する活動をその後開始しました。オランウータンなどの絶滅が危惧される生き物が住める森を目指し、 私たちは植林を続けていきます。

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