未来を担う子供たちへの環境教育

村の未来を担うのは村人自身、そして子どもたちです。FNPFはタンジュンハラパン村にある小学校の先生との協力で、子供たちへの 環境教育プログラムを放課後に行ってきました。村からボートで森へ行き、そこで育てている植物や薬草を学んだり、苗を植えたり、 時には自然の中でネイチャーゲームをして楽しみます。村の子どもたちはみな素直に自然とふれあい、村の周りのオランウータンが 住む森がずっと残って欲しいといいます。

ストーリー1 村の子どもたちの暮らし

子どもたちは日が昇りはじめる早朝に目を覚まし、眠い目をこすりながら村の中に流れる川で水浴び(マンディ)をします。 体を洗い、制服に着替え、朝ごはんをたべます。村の中にある小学校・中学校では授業が始まるまで皆で遊びます。
学校は7時に始まり、12時には終わります。放課後は授業もなく、塾もありません。縄跳びをしたり、サッカーをしたり・・時には 木に登ったり、川に飛び込んだりと怪我を気にせず全力で遊びます。しかし、遊ぶだけではありません。水を汲んで洗濯をしたり、 牛のえさを刈りにいったり家事も精力的にがんばります。日が暮れれば辺りは真っ暗、家で晩御飯を食べて、早い時間に就寝します。

ストーリー2 村の子どもたちの環境教育

♪リンバラヤ リンバラヤ マリ キタ ブルニャニ〜♪
(深い森 深い森 みんなで歌いましょう)
♪ムムジ ウータン リンバ デンガン ハティ ヤン グンビラ〜♪
   (うれしい気持ちで深い森をほめたたえましょう)

子どもたちの明るい歌声がタンジュンプティン国立公園の森に響きわたる。今日はタンジュンハラパン村の月に1回の環境教育の日。 参加者は村の子どもたち23人。その後ろには村の小学校教師や保護者たち。FNPF、村の小学校、村人の協働事業です。

FNPFでは2005年から次世代への環境教育に取り組んでいます。プログラムは朝7にスタートし、全員がボートに乗り込み、対岸の国立公園へ 移動。木の橋を通り、森の中を歩く。動物の鳴き声をまねて鳴き声を探し当てるゲーム、生き物のつながりを体感するゲーム。みんなの テンションが上がったところで植物についてお勉強。苗を実際に見せながら、木の名称、どんな実がができ、どんな使い道があるかを 説明した後に植林を行う。その後、森の中でのクッキングを行い、最後は冒頭の森の歌を大合唱。森が近い村だからこそできる環境教育です。

ストーリー3 日本の子どもたちとの交流

大阪のある小学校では、2012年にパーム油をテーマにした総合学習を一年間かけて行いました。児童たちはパーム油が含まれる商品や 影響を受ける動物たちなどを調べ、壁新聞を作り、大人顔負けの発表をしてくれました。そして、「パームオイルと私たちの生活」という テーマでタンジュンハラパン村の子どもたちにお手紙をくれました。その後、ウータンのメンバーが村を訪れた時に、日本の子どもたちの メッセージを紹介しました。村の子どもたちは早速お返事をかいてくれました。

日本の友人のみなさん、こんにちは。私の名前はメリーです。私はパーム油についてお話ししたいと思います。人々はパーム油を採るための アブラヤシを植えるために木を切り倒しました。その結果、動物が絶滅しそうで、いまではオランウータンを見ることが少なくなりました。

ちょうど同じくらいの歳の村の子どもたちと日本の子どもたち。どちらの国の子どもたちもずっと幸せに暮らせる社会を作っていかなければ なりません。

ストーリー4 FC.Manisの取り組み

2012年のプランテーション問題により、月に一度の環境教育は中断してしまいました(「タンジュンプティン国立公園を守ろう」参照)。 しかし、ウータンのエコツアーでは森での環境教育を続けています。また、新たにウータンとも協力関係にあるFC.Manisという日本の NGOが村の子どもたちを巻き込んで環境教育ワークショップを始めています。日本から寄付を募って村人の苗を購入し、寄付者の名前の 入った植樹看板を子どもたちと作り、村の周りや国立公園などに一緒に植えています。
村人が持続的に自然とともに暮らしていくためには、彼ら自身が森を守りたいと思うことが重要です。子どもたちがずっと豊かに幸せに 暮らしていける社会を作るために、不可欠な森の大切さを一緒に考える機会を大切にしたいと思います。

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