パーム油学習会

パーム油学習会

ウータン・森と生活を考える会では、2015年より、3ヶ月に一度くらいのペースでパーム油学習会を開催しています。私たちが日々消費している一方、熱帯林をプランテーションへ転換するなど環境・人権・社会に様々な影響を与えているパーム油について学びを深めることで、私たちがどのような持続可能な社会を創り、熱帯林を守っていくことができるかを参加者と考えます。

第10回パーム油学習会 2018.4.14

ゲスト:水野広祐さん(京都大学東南アジア地域研究研究所総合地球環境学研究所教授)

「泥炭地回復への挑戦とエンタイトルメント-人々の積極的参加を得るには?」

東南アジアの熱帯林に特有の泥炭地は特にインドネシアに広がり、この特性にそぐわないアブラヤシや産業用造林の開発が温室効果ガス排出や森林火災に拍車をかけています。一方でこの土地で暮らしている人たちがいて、彼らの主体的な権利を尊重した形での適正技術による開発が、大規模技術に対して必要であると言えます。水野先生は、泥炭地でも可能な農業である「パルディカルチャー」を勧めておられて、1)泥炭火災予防のための荒廃泥炭地への簡易ダムの設置、2)在来種の植林と成長調査、木材・非木材産物に関するマーケット調査が必要であると訴えます。

熱帯泥炭地保全にとってはやはり現地に住む人の主体的な権利と関わり(エンタイトルメント)が重要だと認識させられた学習会となりました。

水野先生は日本の科学者2017年12月号にも論考を寄稿されています。

第9回パーム油学習会 2017.12.2

ゲスト:大崎満さん(北海道大学農学研究科名誉教授)

「熱帯泥炭は地球の心臓と肺」~ボルネオ熱帯林から見る地球温暖化防止の最前線~]

長らくインドネシアの熱帯泥炭地も研究されてきた北海道大学の大崎満先生は、海岸域生態における炭素をブルーカーボンと称することに対し、鮮やかな紅茶色が特徴の泥炭地の水から、泥炭地の炭素はゴールドカーボン、世界で最も自然資本の豊かな生態系である熱帯泥炭地をゴールドランドと例え、土壌の特性、流域も含めた保全のあり方を提唱されています。

土壌学を専門とする研究者ならではの時間的・空間的に壮大なスケールのお話しに、熱帯泥炭地の価値と特性を生かした保全が求められていることを実感しました。とても参考になる学習会となりました。

大崎先生は日本の科学者2017年12月号にも論考を寄稿されています。

第8回パーム油学習会 2017.10.9

講演者:神前進一、石崎雄一郎、近藤美沙子
(ウータン・森と生活を考える会)

「たっぷりボルネオ島の現地報告」

ウータンが2017年から取り組んでいる熱帯泥炭地保全と再生にむけた先進地域視察の報告を当会アドバイザーの神前進一先生から長年植林活動を行なってきたタンジュン・プティン地区での新たな試み「スポット植林」の最新報告を若手通訳として活躍する近藤美沙子さんから行いました。(資料ご参照)

事務局長の石崎雄一郎からは、スンガイ・プトゥリ地区への訪問を元に、以下のような「熱帯林を守るための方法」としての問題提起を行いました。  1.政府の保全政策への働きかけ:モラトリアム、HCVF(High Conservation Value Forest)の開発禁止等、国の規制に働きかける。2.アドボカシー:違法性のある操業をしている企業に対し、法的な開発停止へのアプローチを試みる。3.コミュニティ・オーガナイズ:地域住民が自らの土地利用区分とその価値を知り、開発企業が村に入ることに反対するように促す。4.キャンペーン:署名等、外部の声を集めて企業に申し入れをする。世論を高めて、企業にプレッシャーをかける。5.企業の保全に向けた自主的な行動変容への働きかけ:RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの認証システムやグローバル・コンパクト等の目標・宣言・認証システムへの参加等、企業の環境保全目標への自主的な取り組みを促す。6.消費者への働きかけ:消費者が声を上げることで、企業の変容や政府の規制に訴えかけるように促す。

第7回パーム油学習会 2017.7.29

講演者:平賀緑さん(京都大学大学院国際政治経済学)

「油まみれな食生活への政治経済史ーパーム油など油脂の消費拡大を促した構造的変遷」

体や環境にやさしいと言われる食べ物、いわゆるオーガニックや無農薬といった食べ物はこだわりが強く、高値であることが多いですが、逆になぜ、食べると太ってトクホを買わないといけないような、しかも地球の裏側から輸入してきた油や砂糖を使ったジャンキーな食べ物の方が、安く大量に出回っているのでしょうか? その背景には経済成長最優先の基本食材を取り扱う多国籍企業や巨大穀物商社、ファーストフード、医薬品業界、輸出を後押しするアメリカ政府などなど…政治経済が深く関わっています。(実は太平洋戦争での日本の動きも後押ししたとのこと!)

自分の家族が食べるものを地域の農家が育てることはagriculture、つまりculture(文化)になりうる。単一作物を農薬や化学肥料で作るagribusinessはcommodity(商品)を作っているにすぎない。パーム油を通して、私たちにとって「食べ物」とはなにかが見えてくるような気がした学習会でした。

第6回パーム油学習会 2016.12.10

講演者:神前進一、笠原英俊 (ウータン・森と生活を考える会)

「アブラヤシ栽培における小農の役割と課題」

近年増加が著しく無視できない存在となってきた小農によるアブラヤシ生産の状況について、大阪大学で 教官をされていた神前進一さんと、元小学校教諭で「ウータン・森と生活を考える会」の古くからのメンバーである笠原英俊さんにお話をしていただきました。