熱帯泥炭地と気候変動

熱帯泥炭地と気候変動

インドネシアやマレーシアに広がる熱帯泥炭地には多量の炭素が蓄積されています。温室効果ガスである二酸化炭素となり多量に放出されたら… インドネシアの熱帯泥炭地は開発や火災により莫大な温室効果ガスを放出する土地へと変わっているのです。

熱帯泥炭地とは

熱帯泥炭地とは、高温多雨の熱帯地域に広がる地下水位の高い湿地で、樹木の枝や葉など有機物の遺骸が十分に分解されずにできた泥炭(ピート)が数千年間蓄積してできた土地のことです。特に東南アジアのボルネオ島やスマトラ島に多く見られ、深い泥炭は10メートル以上に及びます。豊かな生態系を育む熱帯林の多くは、熱帯泥炭地の上に形成されているのです。

膨大な温室効果ガスを含む熱帯泥炭地

熱帯泥炭地には、莫大な炭素を貯留しているという特徴があります。世界には約10億ヘクタールの泥炭地が存在し、500ギガトン(5000億トン)の 温室効果ガスを含んでいると言われています。北海道大学の大崎満教授によれば、ボルネオ島の「水の森」の地下に貯蔵された泥炭の炭素量は550億トンと桁外れに多く、ここ数十年の乱開発や森林火災によって、「炭素の貯蔵庫」から巨大な「炭素の放出源」へと転じています。 

世界有数の熱帯泥炭地を保有するインドネシアは,開発による土地利用変化に伴う温室効果ガス排出量が年々増加しており、2013年のデータでは国全体の65%以上を占めました。2015年に起こったインドネシアの大規模森林火災では、日本の一年間の二酸化炭素総排出量(2014年度13.6億トン)を大きく上回る16億トン以上の温室効果ガスが排出され、気候変動への大きな影響が懸念されます。

開発により破壊される熱帯泥炭地

これまでにインドネシアの熱帯泥炭地の多くが開発され、残された熱帯泥炭地も開発の危機に面しています。ボルネオ島の泥炭湿地林は1920年頃に比べて6割が失われ、2016年のWWFのデータでは、2005~15年の10年間で250万haが消失するなど開発のスピードは加速しています。

熱帯泥炭地の主な開発には、アブラヤシプランテーションへの農地転換やアカシアプランテーションへの産業用植林地転換が挙げられます。アブラヤシから生産されるパーム油は、インスタント麺やマーガリン、スナック菓子などの植物油脂、石鹸、洗剤、化粧品等にも使われ、世界で最も生産されている油です(パーム油の問題参照)。アカシアプランテーションからはコピー用紙、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等が生産されます。これらは私たち日本の消費者ともつながりが深い商品と言えます。

アブラヤシプランテーションを開発する時には、アブラヤシを植えやすくするために、熱帯林を皆伐し、水路から水を流出させて土地を平坦にします。熱帯泥炭地の湿地の水面が下がると空気に触れた泥炭が分解し、中に含まれていた大量の炭素が温室効果ガスとなって排出されます。熱帯泥炭地を1メートル掘ることで、年間1ヘクタールあたり93トンのCO2が排出される計算となります。

また、乾燥化した泥炭は非常に燃えやすく、開発によって乾燥した熱帯泥炭地は、 森林火災を引き起こしやすくなります。森林火災時には地中の泥炭も延焼し火災が広範囲に広がります。土壌の泥炭の分解はさらにすすみ、大量の温室効果ガスを発生させるのです。

気候と生物多様性の保全のために

インドネシア大統領令32条によれば、3メートル以上の深さの泥炭湿地は保護されることになっています。 しかし、2000万ha以上あり372億トンの温室効果ガスを含むインドネシアの熱帯泥炭地は、今もなお開発され続けているのです。多くのNGOがこのまま熱帯泥炭地を開発しつづけることは、貴重な生物多様性が損なわれるだけではなく、気候変動にも大きな影響がでると指摘しています。 

熱帯泥炭地を守ることは、生態系を守るだけでなく、気候変動を防ぐためにも必要です。ウータン・森と生活を考える会では、2017年度より熱帯泥炭地の保全と再生にむけたプロジェクトを行なっています。

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