熱帯泥炭地と気候変動

熱帯泥炭地と気候変動

インドネシアに広がる泥炭湿地には多量の二酸化炭素が蓄積されています。温室効果ガスである二酸化炭素が多量に放出されたら・・・、 インドネシアの泥炭湿地は開発や火災により多くの二酸化炭素を放出する場所へと変わってきています。

泥炭湿地とは

泥炭湿地とは、動植物などの遺骸が水に浸かったまま分解せずに堆積した有機物からなる泥炭、森林、水である沼の3つの要素から 成り立っている土地のことです。形成されるのに長い時間を要し、ボルネオの泥炭湿地は5000〜8000年かけてできたと言われています。 深い泥炭は10メートル以上に及び、この上に形成された森林の中で、豊かな生態系が生まれるのです。

膨大な温室効果ガスを含む泥炭湿地

泥炭湿地には炭素を貯留するという特徴があります。世界には約10億ヘクタールの泥炭湿地が存在し、500ギガトン(5000億トン)の 温室効果ガスを含んでいると言われています。北海道大学の大崎満教授によれば、ボルネオ島の『水の森』の地下に貯蔵された泥炭の 炭素量は550億トンと桁外れに多く、ここ数十年の乱開発によって炭素の貯蔵庫から巨大な炭素放出源に転じています。 実際に2015年のインドネシア大規模森林火災では、16億トン以上と日本の二酸化炭素総排出(2014年度13.6億トン)を大きく上回る 温室効果ガスが排出され、気候変動への大きな影響が懸念されます。

開発により破壊される泥炭湿地

パーム油を採るためのアブラヤシプランテーションを開発する時には、アブラヤシを植えやすくするために水路から水を流出させて 土地を平坦にします。泥炭湿地の水面が下がると泥炭が分解し、中に含まれていた大量の温室効果ガスが排出されます。 泥炭湿地を1メートル掘ることで、年間1haあたり93トンのCO2が排出される計算となります。また、開発によって土地が乾燥して、 森林火災を引き起こしやすくなります。火災時には土壌の泥炭も燃えて、土壌の泥炭の分解がすすみ、さらに大量の温室効果ガスを 発生させるのです。

気候と生物多様性の保全のために

インドネシア大統領令32条によれば、3メートル以上の深さの泥炭湿地は保護されることになっています。 しかし、2000万ha以上あり372億トンの温室効果ガスを含むインドネシアの泥炭湿地は今もなお開発され続けているのです。 泥炭湿地を守ることは、生態系を守るというだけでなく、温室効果ガスの排出を抑え、気候変動を防ぐためにも必要です。